熱感知器(熱式スポット型)
1.熱式スポット型感知器
(1)設置基準
・感知器は、感知区域ごとに表に定める床面積につき1個以上の必要個数を次式により算出し、火災を有効に感知するように設けること。
・感知器の下端は、下図のように取付面(天井面)の下方0.3m以内の位置に設けること。
・感知器は換気口等の空気吹出し口から図(a)、(b)のように1.5m以上離れた位置に設けること。ただし、図(b)のようにaの距離が1m以上の場合は、状況により1.5m以内とすることができる。
なお、ファンコイル等のように吹出口と吸込口が近接しているものにあっては、影響を受けない位置とすること。
・感知器を45°以上の傾斜面に取り付ける場合、図のように座板等を用いて傾斜しないように設けること。
・感知器は火災を有効に感知するように設けること。図は0.4m未満のはり等によって区画されている場合の例で、感知器は千鳥配置となるように設けること。(感知器を4個設置する場合)
・定温式スポット型の公称作動温度、補償式スポット型の公称定温点は、設置場所の正常時における最高周囲温度より20℃以上高いものを設けること。
(2)施工方法
感知器は造営材に堅ろうに取り付け、かつ、維持点検に便利な位置を選ぶこと。なお、感知器の付近に有害な電磁波を発する機器等が設けられないこと。
また、定温式スポット型には端子方式以外にリード線方式のものもあるので、接続に注意すること。
[露出配線](露出配管)
・座板を使用した場合
下図は電線管またはケーブルを露出配管(配線)にした場合の例で、座板を用いて感知器を取り付ける。
・ボックスを使用した場合
下図は露出配管を露出ボックスに接続した例で、露出ボックスに座板または感知器のベースを取り付け、これに感知器本体を取り付ける。
[いんぺい配線]
・直付けの場合
下図はいんぺい配線とした場合の例で、天井面に確実に感知器を取り付ける。
・ボックスを使用した場合
下図は二重天井の場合の例で、天井内部でつり金具を用いるか二重天井の下地等に配管およびボックスを固定し、感知器を取り付ける。
[埋込配線]
下図は配管およびボックスをコンクリートに打ち込んだ例である。
[その他の配線]
鉄骨構造などに取り付ける場合は、露出配線の例に準じて設置する。
2.差動スポット試験器
差動式スポット型感知器の点検が、容易に行えない場所には、出入口付近などで試験が容易に行える場所に、差動スポット試験器を設けること
(1)設置位置
試験器の設置位置は点検が容易に行える場所で、取り付ける高さは下図のように床面より0.8m以上1.5m以下とすること。
(2)施工方法
感知器と試験器との連絡管(空気管または銅パイプ)は指定された長さ以内であり、接続については空気漏れ、つまり折れ曲り等がないように注意して施工すること。
なお、試験器が2個以上となる場合は感知器の対照番号を付しておくこと。
3.特殊な場所の設計
[細長い居室等の場合]
感知器を短辺が3m未満の細長い居室等に設ける場合は、図のように歩行距離で表の数値以内ごとに1個以上設けること。
[小区画が連続してある場合]
はり等の深さが0.4m以上1m未満で小区画が連続してある場合は、表に示す面積の範囲内ごとに同一感知区域とすることができる。この場合、図のように各区画は感知器を設置した区画に隣接していなければならない。(→印のように各区画に隣接していること。)
[1つの小区画が隣接してある場合]
図のように0.4m以上1m未満のはり等によって区画された5㎡以下の小区画が1つ隣接してある場合は、当該小区画を含めて同一感知区域とすることができる。この場合、感知器は小区画に近接するように設けること。
なお、小区画を加えた合計面積は感知器の種別によって定められている感知面積の範囲内であること。
[段違い天井で段違いが0.4m未満の場合]
図(a)、(b)のように段違いの深さが0.4m未満であれば、平面天井とみなして同一感知区域とすることができる。
なお、図中の主たる取付面とは同一感知区域内で取付面の高さが異なる部分がある場合、その取付面の高さに応じた面積のうち最も広い部分の取付面をいう。以下同じ。
[段違い天井で段違いが0.4m以上の場合]
段違いの深さが0.4m以上の場合、次のような場合は同一感知区域とすることができる。
ア.居室等の幅が6m未満の場合
図(a)、(b)のように段違いを含む居室等の幅が6m未満であれば、当該居室等を同一感知区域とすることができる。この場合(b)のように段違いの高い部分の幅が1.5m以上の場合は、感知器を高い天井面に設けること。
イ.居室等の幅が6m以上の場合
(ア)段違いが低い場合
主たる取付面より低い段違いがある場合は、下図のように段違いの低い部分の幅が3m未満であれば同一感知区域とすることができる。この場合、感知器は当該居室等の面積に必要な個数を、高い天井面に火災を有効に感知するように設置すること。
(イ)段違いが高い場合
主たる取付面より高い段違いがある場合で下図のように段違いの高い部分の幅が1.5m未満の場合は、同一感知区域とすることができる。この場合、感知器は当該居室等に必要な個数を、低い天井面に火災を有効に感知するように設けること。
[段違い天井が中央にある場合]
ア.段違いが低い場合
主たる取付け面より低い段違い部分の幅が6m未満の場合は、高い天井面と同一感知区域とすることができる。下図のようにbが6m未満であれば、a、b、cを同一感知区域とすることができる。
主たる取付け面より低い段違い部分の幅が6m以上の場合で、下図のようにa及びcが1.5m未満であれば、a、b、cを同一感知区域とすることができる。
なお、いずれの場合も感知器はa、b、cの合計面積に必要な個数を火災を有効に感知するように設けること。
イ.段違いが高い場合
主たる取付け面より高い段違い部分の幅が3m未満で低い部分の幅が3m以上ある場合は、いずれかの低い天井面と同一感知区域とすることができる。下図のようにbが3m未満であれば、a、b又はb、cを同一感知区域とすることができる。
主たる取付け面より高い段違い部分の幅が3m未満で低い部分の幅が3m未満である場合は、下図のようにa及びcが3m未満であれば、a、b、cを同一感知区域とすることができる。
なお、いずれの場合も、感知器はbの面積を含めた必要な個数を火災を有効に感知するように設けること。
[棚又は張出し等がある場合]
図のように取付け面から0.5m未満の部分に棚又は張出しがある場合、当該棚又は張出しに相当する天井面の部分には感知器を設けないことができる。
[傾斜形天井の場合]
天井の傾斜角度が3/10未満の場合は平面天井とみなして感知器を設置して差し支えないが、傾斜角度が3/10以上の場合は、傾斜形天井の頂部が「密」となるように設けること。
[のこぎり形天井の場合]
のこぎり形天井の場合も、傾斜角度が3/10未満の場合は傾斜形天井の場合に準じて設ける。
ただし、感知区域は図のようにdの深さが0.4m以上の場合は傾斜角に関係なく、a、bはそれぞれ別の感知区域とすること。
[円形天井の場合]
円形天井の場合は、円形部の最低部と最頂部とを結ぶ線の傾斜角度が3/10以上の場合、傾斜形天井の場合に準じて設けるが、図のようにdの深さが0.4m以上の場合は傾斜形天井の場合と同様、傾斜角度に関係なく a、bは別の感知区域とすること。なお、感知器は頂部に密に設けること。
[越屋根天井の場合]
越屋根天井の設置方法は傾斜形天井の場合に準じて設けるが越屋根部については次により設けること。なお、越屋根は換気等の目的に使用される場合が多いので、感知器の設置にあたっては構造等を十分に確認し、火災を有効に感知するように設けること。
ア.越屋根部の幅が1.5m未満の場合
越屋根部の幅が1.5m未満の場合は、下図のように越屋根部にそれぞれ1個以上の感知器を設け、その他の部分には傾斜形天井の場合の例により設けること。
イ.越屋根部の幅が1.5m以上の場合
越屋根部の幅が1.5m以上の場合は、下図のように越屋根部の合掌部及び越屋根部の基部にそれぞれ1個以上の感知器を設け、その他の部分には傾斜形天井の場合の例により設けること。
ただし、越屋根が換気等の目的に使用されてるものは、越屋根の合掌部に設ける感知器を下図のように熱気流の流通経路となる位置で、かつ、左右対称となるように設けること。